#アルバージェを着る人 Vol.3 【若井ちえみ】

世田谷区松陰神社駅からすぐの生花店「duft」のオーナーである若井ちえみさん。
アルバージェ初期から現在までのアイテムを長らく愛用してくださっています。実はアルバージェの展示会ではご来場いただくゲストの方に少しでも空間を楽しんでいただくため、コレクションイメージに合わせたお花を飾っています。そして、その空間にいつも素敵な花を添えてくださるのが若井さん。
今回はそんな若井さんに「duft」を開業されるまでの経緯やご自身の人生観、アルバージェのランジェリーたちについて、存分に語っていただきました。

人との出会いを大切にして、自分ができる限り真摯でいたい

ー 独立に至るまでの経緯を教えてください。

若井:最初に勤めていたところは地元(北海道)の花屋なんですけど、王道のお花を中心に取り扱っていて、お花にそんな触れ合ってきていたわけではなかったのでもっとどうしたいという願望もなく、ただ仕事を覚えていけることが楽しかった。そんな最中、雑誌「装苑」でみかけた東京の花屋に興味が湧いてネットで調べてみたら、あまりの違いに驚愕したんです。

ー 具体的にどんなところに驚いたのですか?

自分が見たことのないお花や、花束やアレンジも雰囲気が全然違うように感じて。私が働いていた花屋ではおじいちゃん、おばあちゃんがメインのお客様で、仏花などを広く扱っていたので、世界の違いにびっくりしたんです。

ー そこから、現在の礎となる何かを見出されたわけですね。上京のきっかけとなった?

若井:はい、元々、美容学校時代の友人たちの多くが上京していたので、じゃあ私も行ってみようと東京へ行くことにしたんです。家も職場も決めずに、とりあえず上京しました。

ー それは思い切りましたね。

若井:数年の修行のつもりで上京してきたので、求人募集の項目や、写真だけではなく、店の雰囲気、並ぶお花、作っているもの、スタッフの空気、その雰囲気を実際に見て自分の働く場所を決めたかった。だけどそう上手くはいかず、持ってきた資金も底が見えてきて、ハローワークで紹介を受けた花屋に就職を決めました。上京するときに抱いていた憧れとは違ったけれど、企業からの依頼の大きなお祝いのお花を作る仕事がとても多く、東京の花の流れを知るにはとても良い職場でした。満員電車で一時間の通勤も、銀座という職場も、上京したての私にとってはとてもストレスで、今となっては東京の荒波に揉まれる体験をする良い期間だったかと思います。その職場にもだいぶ慣れてきた頃に、とある花屋の方からうちの店にこないか、と声をかけていただきました。

ー その方もフローリストの方ですか?

若井:上京して就職先を探していたときに、人から紹介していただいた花屋のオーナーさんで、銀座の花屋が決まってからも、何かと相談に乗ってもらったりしていた方でした。

ー そうか、なるほど。そこでの経験が「duft」の立ち上げにつながっていくわけですね。

若井:当時はまさに「修行期間」という感じでした。アルバイトでは経験できなかった「打ち合わせ・提案」「価格設定」「仕入れ」と、自分の受け持った案件は基本的に自分で考えて取り組ませてくれました。いろいろなやり方ありますが、ひとつの「花屋の仕組み」みたいなものを赤裸々に学ばせてもらった感じですね。経験を積んでいくうちに、学んだこと、見せていただいたことを自分で試してみたいという気持ちが強くなってきました。独立するという憧れが、リアルに感じることができたんですね。

ー ちゃんと細かいゴール設定をしていて着実に達成されていってますね。

若井:いやいや、私は細かく計算して進めるのが苦手なタイプで、できる限り人の出会いやおつきあいを大切にするように心がけていたら、本当にタイミングよく恵まれてこうなっているという感じですよ。

ー そういうことかー。私も計算高くはないのですが、何か自分が苦しいときに手を差し伸べてくださる方に出会うことが多いです。チャンスを頂いたり、いい出会いに恵まれたり・・・

若井:あ、わかります。ありますよね。

ー 若井さんご自身でそういう瞬間に何か感じることはありますか?先ほどは人との出会いを大切になさっているとおっしゃってましたが。

若井:この2年半、ありがたいことに、日々仕事に追われて時間が過ぎていました。毎日がむしゃらにやってると、体や心の限界を感じる瞬間が多々あって。そういったときに、人とのおつきあいを大切にしたいはずなのに、人と会う時間を取れなくなったり、人に対して配慮を持てなくなったりしていて、そういう自分にうんざりするようになりました。自分の弱さを本当に痛感しました。
こんな自分が嫌、と同時に、なぜ周りの人はこんなにも助けてくれるのだろう?よくしてくれるのだろう?と改めて考えるようになりました。もちろんある程度の外面の良さもあると思うけど(笑)、割と「人に対して自分ができる限り真摯でいたい」って思ってきたことでしょうか。できる限り正直に向き合いたい、思いやりを持っていたい。いただいたものや恩を当たり前だと感じる人間になりたくないです。その必死さが周りの人に伝わっているんでしょうか・・・。私にも湧かないですが、ただ、そこを大切にすることを諦めたくないですね。あとは、運がいいんだと思います。(笑)

ー なるほど。どんな方とも正直に向き合うということが大切なのかもしれませんね。

店名「duft」に込められた想い

ー 「duft」の由来を教えてください。

若井:「duft」とはドイツ語で「香り」という意味です。花そのものがフェミニンなイメージですし、店主の私も女性なので、内装も店名の響きはあえて男性的にしたいと思ってました。そんなことを考えながら三ヶ月間、ずっと辞書と向き合ってやっと見つけた言葉が「duft」。ひたすら響きと意味だけを気にして探していましたが、ドイツは短期間ですが過去に暮らしていたこともあって、なんだか縁を感じました。「香り」という意味もお花に通じるものがありますしね。

ー 内装もこだわってらっしゃいますよね。

若井:もともと美術館が好きで、なんでしょう。あの独特な空気感が好きです。そんな美術館のような空間でお花を心静かにゆっくり見てもらえたら、と思っていました。店名と一緒で、お花を見てもらうので女性的すぎず、繊細さを残した空間にしたかったです。具体的には、ドイツのモダニズム建築に興味があって参考にしました。ドイツの照明や什器、花器などを使用しています。



ー まさに、「お花の美術館」ですね。

若井:東京で暮らし始めて気付いたのですが、めまぐるしい日常の中で暮らしていると、季節の移り変わりすら敏感に感じることができていなくて、そんな生活の中でもふとした瞬間に、香りが強い「木蓮」とか「金木犀」なんかの香りを感じて「ああ、もうそんな時期か・・」と気づくことがありました。香りから何かを思い出したり、感じたりすることってみなさんあると思います。そんな時って、少し気持ちが日常から離れて、考えや感覚がいつもより繊細になっていく気がする。うちでお花を選んでいもらう時間がそんな時間になったらいいな、と思っています。

ー お花は目で見て楽しむものではあるけど、目に見えないところも楽しんでもらいたかったということですね。

若井:まさにそうですね。

アルバージェを身につけたら、下着そのものに興味を持ってもらえて嬉しかった。

ー 若井さんお気に入りのアルバージェアイテムはありますか?

若井:今日つけてきたのですが、黒の「トリミング」です。




ー わあ、ありがとうございます。素敵な着こなしですね!今まではどういった下着をつけてらっしゃいましたか?

若井:あまり知らなくて、買いやすかったPJとかが多いですね。

ー アルバージェだとパッド入りじゃないもの、補正力よりも自然な胸の形を引き出すものなどが多いですが、最初抵抗などはありませんでしたか?

若井:うーん、服によって寄せて上げたほうがいいものもあるし、そういうものも身に付けるんですけど。アルバージェのレーシーな感じとか、薄い感じとか、胸を寄せて上げなくても女性的で、逆にいやらしい感じというか。そういうものの方が、パートナーの反応も良かったりとかして、実感したので抵抗はありませんでした。

ー それは良かった。嬉しいです。

若井:パッドが分厚いものって、揉んだら分かるじゃないですか。(笑)それよりかは、よっぽど見えそうだけど見えない、もしくはうっすら見えてるくらいのほうが女性的なんだなと感じました。

ー パートナーの方、最初びっくりされませんでしたか?

若井:「お、すごいの着けてるね」と言われました。(笑)でも下着そのものに興味を持ってもらえた嬉しさがありました。その後の反応も良かったです。どんな下着をつけていようが、特に反応なしだったのに、アルバージェには興味を持ってもらえたんですよね。自分もちょっとだけ女性的な意識が上がったりするのもいいな、と思って。あと、アルバージェって思い切り見えてもいやらしすぎない。品があると思います。

ー 品がある・・・ちなみにそれってどうしてだと思いますか?

若井:ははははは(笑)えー、どうしてでしょう。あ、でも繊細さとスポーティーさが兼ね備えられている、からとかかな。私自身がスポーティすぎるものが好きじゃなくて、どっか女性らしさがあるものが好きなんですけど、アルバージェはどこかスポーティさがあっても、線が細かったり、繊細なところとかのバランスがいいんだと思います。

無垢過ぎず、いい塩梅で「大人の女性」を感じられる

ー 若井さんの今日のお洋服とても素敵です。ランジェリーの見せ方も素敵。本当によくお似合いですね。

若井:なんか黒の下着を身につけている時の「オトナの女性」感が好きで。白とか他の色も好きなんですけど、黒はもっと凛とした感じがする。トリミングはそういう意味で無垢過ぎず、いい塩梅で「大人の女性」を感じさせてくれますね。

ー 普段、他のブランドさんも身に付ける機会は多いと思いますが、そんな中でアルバージェを身につけようと思ってくださる時ってどんな時ですか?

若井:結構まちまちですが、アルバージェの場合は「今日は”アルバージェ”を着けたい」と明確に思うことが多いです。あとは、デートの日に下着からコーディネイトを決めるようになりました。レーシーなアルバージェならお洋服はこういうものにしよう、とか。ストラップを見せたいからこっちの服かな?とか。アルバージェと出会っていなかったら無かった価値観です。

ー 数多あるブランドの中でアルバージェを知ってくださる、増して実際に購入していただいて身につけていただくことって本当にありがたいです。一般的に見れば、金額やパッドの問題だったりでなかなか手が出ないという声もあるので。でも、アルバージェの持つ精神性やご提供できる価値観を、他社さんとは違う角度から少しずつでも実感していただければもっともっと楽しんでいただけるかなと思っているので、その感覚はすごく嬉しいです。

お客様にとっての「最初の一歩」を大切にしたい

若井:今ってインスタグラムとかいろんな形で入り口が増えた分、昔よりはより広くお客様に出会うことができますよね。

ー そうですね。最近はランジェリーそのものに対する価値観が変わってきているようにも思います。とはいえ、「見るだけで満足」みたいな方もまだ多くいらっしゃって、ぜひ手にとって着けてみて、心が高ぶる瞬間とか、自分自身が変化していく過程を楽しんでほしいなあと思っているんですけど・・・

若井:うん。下着にお金をかけるって価値観も、やってみたらどんどん挑戦してみたいと思うかもしれないけど、最初の一歩は緊張しますよね。だからお洋服とかアクセサリーとか外に出るものにお金をかける人のほうが多いのでしょうし。

ー そうなんですよね。実際のところ、私自身がそもそも下着に対するこだわりはそこまでなかったです。だから、内側にお金をかける価値観はなかなかもてないというのは共感もできる。安くていいものもたくさんありますしね。だからこそ、提供する側として上質なモノであるという大前提で、精一杯手にとっていただきやすい価格に落とし込めたら、という意識は強く持っています。(話逸れちゃいました・・・失礼。)
思ったのは、「お花」というアイテムもある種ランジェリーに近いですよね。家の中に飾ると外からわからないけれど、自分自身の生活や心を豊かにすいるアイテムの一つとして買うわけで。お客様にとってどうかということを考えながら、花束などを作ることもモノづくりという意味では似ていますし。

若井:そうですね。なくてもなんとかなっちゃうものですしね。私の場合、お店があるから、実際に来ていただいた方とお話をして、自分自身やduftのことを知ってもらったり、生活の様子を伺うことで、どんなサイズの花瓶がお部屋に合うかとか考えたり、いろんな提案ができるようにしたいと思っています。



だからこそ、興味を持って実際にお店に足を運んでくださったお客様との会話は、お花そのものやduftに今まで以上に興味を持ってもらえる時間にできたら、と日々心がけています。

お花を通して、たくさんのお客様に豊かな時間を提供する若井さん。
彼女の価値観や感覚は私たちに取ってもシンパシーを感じ、刺激を受けながら勉強させていただきました。自分は弱いから、と謙遜しながらも積極的に行動を起こし、ステップアップされていく若井さんの姿に勇気をいただきました。小柄で可愛らしい見た目からは想像もできないほど、大きな覚悟とバイタリティに溢れる姿はまさに「凛」とした女性、アルバージェが毎回コレクションのコンセプトに掲げる「自立した女性像」でした。
若井さんのように、私たちもアルバージェというブランドを通して少しでも多くの方に豊かな時間や価値をご提供できたらと、取材の帰り道に改めて見つめ直すことができました。
ぜひ、皆様も東急世田谷線「松陰神社駅」すぐの生花店「duft」で、その日入荷された個性あふれる植物たちと触れ合って、心穏やかな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?

<プロフィール>

若井ちえみ

北海道出身。世田谷区「松陰神社駅」からすぐの生花店「duft」オーナー。フローリスト。

「duft」

雑誌紙面でのフラワースタイリング、百貨店売り場やイベント、結婚式の装飾から生花の販売まで多岐にわたり活躍中。